メディカル・サウンドセルの記事が11月18日朝日新聞朝刊に掲載されました。
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体調に合わせ、「音の薬」作曲
名市大病院が挑戦 脳波・胃電図を活用
体調に合わせた音楽を「処方」して治療に役立てようという試みに、名古屋市立大学の医師らが取り組んでいる。数値の変化に対応して自動的に組み合わされる音楽「サウンドセル」を応用し、胃の動きや脳波に合わせた曲を作り、効果をみるという仕組み。研究はまだまだ手探り状態だが、近い将来、もしかしたら「音の薬」ができるかもしれない。(原田朱美)
名古屋市立大学病院の山田和雄副病院長(脳神経外科)が代表となって今夏、「メディカル・サウンドセル研究会」が発足した。全国の医師や「サウンドセル」を考案した作曲家の佐野芳彦氏ら10人がメンバーだ。
「サウンドセル」とは、数秒間の音の単位「セル」が、データの変化に連動して自動的に組み合わさり、曲が作られる仕組み。約10年前に佐野氏が「作曲の可能性を広げたい」と考案し、すでに自動演奏ピアノや携帯電話に使われている。
癒やし効果に期待
研究会の取り組みは、これを医学に応用しようという試みだ。いま進められているのは、大きく二つある。
一つは、機能性胃腸障害に対する音楽療法。音楽は、患者の心を癒やし、症状を改善することがある。そこで、心電図のように胃の動きを測る「胃電図」とサウンドセルを連動させることで、胃の動きが悪い時には、患者の好みに合わせて心を落ち着かせるゆったりした音ばかりつなげる、という具合に、曲を「処方」していく構想だ。
研究会のメンバーで、この研究に携わる知多厚生病院の井出政芳医師は「音楽を使って患者が胃腸の動きをコントロールできるようになるかもしれない」と話す。今後は、実際にどのような音楽でどのように胃の動きが変わるのかを調べていくという。
二つめは「サウンドセルブロック」だ。「セル」にあたる短い音が入ったブロックを自由に組み合わせてつなげることで、いろんな曲を作ることができる。認知症などのリハビリに使える可能性があるという。すでに試作品は完成した。
サウンドセル発案者の佐野氏は「音楽がどう体にフィードバックしていくか、注目している」と話す。「モーツァルトの曲が脳に良い」など、音楽の効用は以前から言われてきたが、実証するのは難しい。「作曲家が作ったものでは、人によって合う合わないがある。患者に合った曲を使うことで確かめられるかも」と期待を寄せる。
新しい分野だけに、どの程度効果があるのかは、不透明な部分も多い。山田副病院長は「役に立つかアイデア倒れになるのか、まだよく分からない」と苦笑する。しかし、楽しそうに笑ってこう付け加えた。「でも、『胃が音楽をつくる』って、面白いでしょう」